リンゴ果実の香気成分の検索と品種特性

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タイトル別名
  • Composition of Volatile Compounds of Apple Fruits in Relation to Cultivars
  • リンゴ果実の香気成分の検索と品種特性〔英文〕
  • リンゴ カジツ ノ コウキ セイブン ノ ケンサク ト ヒンシュ トクセイ エ

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抄録

リンゴの香気にかかわる品種の育成や利用加工上の指針を確立するため, 主要リンゴ5品種の生鮮果実の香気成分の検索と品種特性について, 丸ごと果実のヘッドスペース法と破砕果実 (生鮮果汁) の高真空蒸留法により香気成分を回収して検討した.<br>1. ヘッドスペース法による香気の回収結果から, 70~80の成分がガスクロパターンとして検出され, そのうち39成分をガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ•質量分析計により同定した.<br>2. 同定された39成分の内訳は, エステル類27, アルコール類6, アルデヒド類2, 炭化水素類2, フェノール類1及び酸類成分であった.<br>3. ヘッドスペース法による全香気成分のうち, エステル類は全品種とも80%以上を占めた. また, 全香気成分含有量は‘はつあき’(1.889ppm)>‘紅玉’(1.531)>‘ゴールデン•デリシャス’(0.196).‘陸奥’(0.187)>‘ふじ’(0.055)の順であった.<br>4. 高真空蒸留法に基づく香気成分組成もヘッドスペース法によるそれとほとんど同様であった. しかし, 高真空蒸留法による香気成分組成はアルコール類が最も多く, ‘はつあき’の53.3%から‘ふじ’の75.5%に及んだ.<br>5. 高真空蒸留法による全香気成分の回収量は, ‘紅玉’(9.415ppm)>‘はつあき’(8.936)>‘ゴールデン•デリシャス’(5.964)>‘陸奥’(3.711)>‘ふじ’(2.273)の順であった.<br>6. 以上の結果から, ‘紅玉’やその血縁の‘はつあき’種の香気成分は, 香気の回収方法を問わず, 他の3品種より著しく多く, 香り立ちの良い原因であることが判明した.

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 55 (3), 280-289, 1986

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (15)*注記

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