室内葡萄の葉の同化, 呼吸, 轉移作用に就て (第3報)

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  • 日光強度と同化作用

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説明

1. 京都帝大農學部附屬農場の室内葡萄ブラツクハンブルグ及び露地葡萄チヤンピオンを使用し, 日光の強度が同化作用に及ぼす影響に就いて實驗, 觀察した。實驗は昭和13年5月より11月間に行つたものである。<br>2. 晴天日一日間に於ける同化作用は午後4時頃迄可なり大きく, 其後次第に減少し夜間に至つで停止し, 專ら呼吸, 及び轉移作用のみとなる。而して一日中の最高同化作用は午前10時より午後2時の間に於い現れる。曇天日の同化作用は晴天日と何等變りはない。只快晴日に於ける同化作用の曲線に比する曇天日の曲線は不規則になることがある。<br>3. 雨天日には同化作用は衰へ, 呼吸作用, 轉移作用は續けられるので, 同化量は負の測定價となつて現れる。春より秋に至る各月の同化量を比較すると, 秋に至つて次第に少となつてゐる。<br>4. 晴天日が繼續した時には同化作用曲線は規則正しいものとなり, 山と谷の變化が少ない。即ち日中増加した同化量は夜間に移動して早朝には葉の乾物重は少さくなり, 再び日中に乾物重が増加する。然るに晴天日と雨天日とが交互に來た場合には, 曲線は不規則になる。即ち雨天日には同化量少なく, 又其の夜間の轉移量も割合に少ない。而して晴天日には, 同化量, 轉移量共に大である。雨天又は曇天日の繼續せる時には同化量少なく, 乾物重は次第に減少する。<br>5. 葡萄葉の上をハトロン紙, パラフイン紙等で覆ひ, 日光の光度を減少させ, 同化作用に及ほす影響を觀察した。快晴の日の日光の60%位に光度が減じても, 同化量に變りはなく, 晩秋に於いては却つて標準區の2培以上の同化量が示された。30%以下に光度が減少する時は同化作用も著るしく低下する。<br>6. 赤, 黄, 青等の色着ハトロン紙にて葉面を覆ひ, 種々の光が同化作用に及ぼす影響を見たが, 結果は明らかではなかつた。只, 光度と同化作用との間に平衡的な關係のない事が明かになつた。<br>7. 温室の東西兩側の葡萄の同化作用を比較しつつ, 7月に, 副梢除去を行ひ, 其の同化作用に及ぼす影響を檢討した。その結果, 副梢除去は著るしく同化作用を促進するものである事が明らかになつた。

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 12 (4), 305-316, 1941

    一般社団法人 園芸学会

参考文献 (6)*注記

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