ニホンナシの花芽分化に伴う茎頂細胞の微細構造の変化

書誌事項

タイトル別名
  • Ultrastructural Changes in Apical Meristem during Flower Bud Differentiation of Japanese Pear, <I>Pyrus pyrifolia</I> Nakai
  • ニホンナシ ノ カガ ブンカ ニ トモナウ ケイチョウ サイボウ ノ ビサイ
  • Ultrastructural Changes in Apical Meristem during Flower Bud Differentiation of Japanese Pear, Pyrus pyrifolia Nakai

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抄録

ニホンナシの花芽分化の機構を解明するため, 茎頂の細胞内の微細構造, 特に細胞内オルガネラの消長と形態の変化を調べた.<BR>1.6月26日の内体細胞の活動が高まった時期から7月17日蕚片原基分化前までの段階はニホンナシの花芽分化において最も重要な段階であった. この発育段階の期間にすべての細胞内の微細構造は著しい変化を示した.<BR>2.花芽分化の進行にしたがってゴルジ体の数が顕著に増加し, 多数の大きな分泌小胞とその本体の短縮現象など, 形態の変化が認められた. 一方, 小胞体は断続的な線状分布から網目状の分布に変化する傾向があった. 花芽分化の過程で小胞体の分布密度が明らかに高まり, 付着するリボゾームも増加した. また, これらの小胞体に関連した活発なゴルジ体も存在した.<BR>3.ミトコンドリアは数も大きさも明らかに増加する傾向があった. 特に形態の変化は明らかで, 体積が増加する時, 形状も楕円または球形となった. 一方,花芽の分裂組織細胞中の色素体数は対照の葉芽と比べて, 特に大きな差異は認められなかった. 色素体の形態をみると, 静止帯細胞の色素体ではデンプンの蓄積と消長に相関があり, その体積の変化が非常に激しかった. しかし, 外衣と内体の細胞では花芽においても対照の葉芽と同様, 一定の差異は認められなかった.<BR>4.花芽分化の開始とともに花芽の細胞核内のクロマチンが増加し, また染色濃度も濃くなった. これはまた核仁の増大を伴い, 2個の核仁の出現が観察されることもあった. 細胞質中に多数の小さな液胞が存在することも花芽細胞の特徴であった.<BR>5.これら茎頂細胞の微細構造の変化から, 花芽分化の過程においてオルガネラ果たしている生理的な役割を考察した.

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 63 (2), 323-333, 1994

    一般社団法人 園芸学会

参考文献 (11)*注記

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