栽培地の異なるリンゴ果実における成熟期の糖組成の変化

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タイトル別名
  • Changes in Sugar Composition during Maturation Stage of Apple Fruits Grown at Different Locations
  • サイバイチ ノ コトナル リンゴ カジツ ニ オケル セイジュクキ ノ トウ

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説明

リンゴの成熟果における糖組成の産地間差異に関係する要因についての知見を深めるために, 温度条件を大きく異にする栽培地における成熟期の糖組成の変化を経時的に調査した.<br>1. 未熟期から調査を始めた高槻の‘ゴールデン•デリシャス’と‘ふじ’では, 8月末あるいは9月上旬ごろからショ糖の割合が急増したのに対して, 果糖とブドウ糖の割合が減少した. 一方, ‘紅玉’ではこのような代謝の転換期は明らかでなかった.<br>2. 果糖の割合は‘紅玉’と‘ゴールデン•デリシャス’ではほとんどの産地で成熟の進行に伴い減少したが, 晩生の‘ふじ’では産地間で傾向が異なった. また, いずれの品種とも成熟期の果糖の割合にはあまり大きな産地間差は認められなかった.<br>3. 成熟期のブドウ糖の割合はいずれの品種とも一定もしくはやや減少する傾向が認められ, また冷涼な産地ほど低く推移した.<br>4. ショ糖の割合は‘紅玉’と‘ゴールデン•デリシ栽培地の異なるリンゴ果実における成熟期の糖組成の変化 183ャス’ではほとんどの産地で成熟の進行に伴って急増したのに対して, 晩生の‘ふじ’では産地間で傾向が異なった. また, いずれの品種とも成熟期のショ糖の割合は冷涼な産地ほど高く推移した.<br>5. ソルビトールの割合はいずれの品種とも低く, 産地間差もほとんど認められなかった.<br>6. 以上の結果から, リンゴ果実における糖組成の変化の様相には品種間及び産地間で若干の相違が見られるものの, 概して冷涼な産地ほど成熟期のブドウ糖の割合が低く, ショ糖の割合が高く推移することが明らかとなった.

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 57 (2), 178-183, 1988

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (4)*注記

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