単心房症の1手術治験例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Single Atrium
  • タンシンボウショウ ノ 1 シュジュツ チケンレイ

この論文をさがす

抄録

6才女児の単心房症に対し手術を行い, 良好な結果を得たので報告する. 患児は平素はチアノーゼが認められないが, 体動後には軽いチアノーゼを認めることもあつた. 主訴は疲れやすいこと, 階段を昇ると苦しいという自覚症があつた. 手術後はこれらの自覚症も消失し元気に生活している.<br>単心房症は比較的まれな先天性心奇形で, 本邦における手術報告例も1975年で約50例といわれている.<br>衛前診断は困難で, 心内膜床欠損症または巨大心房中隔欠損症と診断され, 手術される場合が多い. 本症例も心内膜床欠損症と考えて手術を行い, 術中に単心房症であることがわかつた. しかし, 術前の右心カテーテル検査成績をみると, 左房左室の血液の酸素飽和度が異常な低値を示しており, この点に十分な検討が加えられたならば, 術前診断が可能であつたと反省している.<br>なお, 単心房症には大静脈系の還流異常, 冠静脈洞の位置異常などを伴うことが多く, 手術に際しては, これらの点に十分配慮する必要がある.

収録刊行物

  • 医療

    医療 31 (12), 1453-1456, 1977

    一般社団法人 国立医療学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ