副鼻腔に原発した若年性血管線維の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Primany Juvenile Angiofibroma of the Paranasal Sinus
  • フクビコウ ニ ゲンパツ シタ ジャクネンセイ ケッカンセン シュ ノ 1レイ

この論文をさがす

抄録

若年性鼻咽腔血管線維腫は主として鼻咽腔に原発する良性腫瘍とされているが, 臨床的には治療困難で再発しやすく, 悪性腫瘍に似た性状を示す比較的希な腫瘍である. この若年性血管線維腫が異所的に副鼻腔に発生した症例に遭遇し, その全摘出に成功した1例を経験したので報告する.<br>症例は27才男子で, 主訴は鼻出血である. 初診時所見では右嗅裂, 中鼻道閉塞し, 右鼻腔に血痂皮が多量充満している. Caldwell-Luc法で手術するに, 右上顎洞, 節骨洞共に腫瘍組織で充満していた. 洞内容と共に中甲介や鼻腔腫癌も摘出した. 術後タンポンを挿入し, 止血をみて口嚢創を閉鎖した. 鼻咽腔血管線維腫は10~20才代の男子に多く発生し, 臨床的には悪性腫瘍なみにみなされている. 発生原因に定説はなく, 咽頭天蓋以外の部に異所的に発生する可能性も認められている. 手術療法は大出血を起す危険があるが, 本症例では幸い出血も少なく剔出することができた. 現在まだ再発の徴はみられない.

収録刊行物

  • 医療

    医療 31 (11), 1291-1293, 1977

    一般社団法人 国立医療学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ