口腔粘膜の扁平苔癬と歯科用金属との関係についての研究

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on Relationship between Oral Lichen Planus and Metalic Dental Materials
  • コウコウ ネンマク ノ ヘンペイ タイセン ト シカヨウ キンゾク ト ノ カ

この論文をさがす

抄録

口腔粘膜の扁平苔癬と歯科用金属との関係を検討するために, 16種類の金属塩からなる歯科用金属系列を用いて貼付試験を行った。次に, 貼付試験で陽性率の高かったCuと, 金属アレルギー性皮膚炎の原因の中で最も多いとされているCoおよびNiの血中濃度を原子吸光分光分析法により測定した。さらに, 本疾患の病因に細胞性免疫が介在するか否かを検討するために, マクロファージ遊走阻止試験 (MIT) を行った。抗原は口腔粘膜抽出抗原 (OMA) とOMAにCu, Co, Ni, SnおよびCr6+をそれぞれ加えた6類類とした。方法は寒天滴を用いた間接法である。結果は次のようであった。<BR>1.貼付試験<BR>陽性率の高い金属は健康人群ではCu (22.2%) , SnおよびCo (11.1%) であり, 患者群ではSn (35.6%) , Cu (30.5%) , Pt (28.8%) , Zn (18, 6%) , Co (15.3%) であった。SnとZnの陽性率には両群間に有意差がみられた。<BR>2.全血中の重金属の定量<BR>健康人群の定量平均値はCu0.95±0.18ppm, Co13.17±4.94ppb, Ni4.12±2.06ppbであり, 患者群の定量平均値はCu0.88±0.14ppm, Co11.02±5.03ppb, Ni3.28±1.66ppbであった。いずれも患者群が若干低い値を示したが, 有意差はみられなかった。<BR>3.MIT<BR>OMA単独, Cu+OMAおよびSn+OMA抗原では両群間にほとんど差はみられなかった。しかし, Co+OMAおよびNi+OMAの両抗原群の遊走阻止率は健康人群36%, 患者群60%であり, 遊走指数 (MI) 平均値でも患者群に若干強い反応を示す傾向がみられた。Cr6++OMA群の遊走阻止率は健康人群57%, 患者群80%であったが, MI平均値では両群間にほとんど差はみられなかった。

収録刊行物

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ