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- 結城 勝彦
- 東京医科歯科大学歯学部第1口腔外科学教室
書誌事項
- タイトル別名
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- Electron Microscopic Studies on Primary Culture Cells from Human Oral Tissues
- ヒト コウコウ カクシュ ソシキ ノ ショダイ バイヨウ サイボウ ニ カンス
- II. Ultrastructure of the Epithelial Cells from Squamous Cell Carcinoma in Oral Cavity
- 第2報扁平上皮癌由来上皮細胞の超微細構造について
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説明
口腔悪性腫瘍の生物学的性状解明のために, 第1報では正常口蓋粘膜由来上皮細胞の微細構造について報告し, 今回は口腔悪性腫瘍のうち最も多い扁平上皮癌由来初代培養細胞の形態学的特徴を明らかにする目的で電顕検索を行った。<BR>研究材料は東京医科歯科大学第1口腔外科を受診した扁平上皮癌患者40症例で, そのうち8症例について詳細な検索を行った。培養方法は第1報と同様, 直接カバーグラス法に準じて行った。<BR>本研究の対象となった8例中, 臨床的に腫瘍の急速な増殖を示した6例は細胞遊出が良好で, MIも正常口蓋粘膜のそれに比し高い値を示したのに対し, 材料採取前に化学療法, 放射線治療の両方または一方が行われ, その後臨床的に急速な腫瘍増殖がみられなかった2例では細胞遊出がやや緩慢でMIも低かった。これは, 培養下での細胞増殖の様相が由来する腫瘍組織の障害または増殖の状態をよく反映していたものと考えられた。また, これら8例の病理組織所見で細胞異型性, Broders分類と培養下での細胞増殖との関連性は明らかでなく, 角化傾向の強い症例に良好な増殖を示すものが多かった。しかし遊出細胞の異型性は組織所見のそれとはよく一致していた。遊出細胞の電顕所見では同一症例でも, また同一シートにおいても細胞によりその所見は異なっていた。しかし遊出細胞の多くは, 核が類円形で凹凸不整を示し, よく発達した1~4個の核小体を有し, 細胞質内には正常口蓋粘膜由来のそれと同様にミトコンドリアやリボゾームに富んでいた。一部には病的変性を示すと思われる環状核小体や, 角化傾向を強く示す細胞, ムチン様顆粒を多量に含有する細胞なども認められた。<BR>病理組織所見で, 角化傾向が中等度の症例では遊出細胞中にトノフィラメントを多量に含み角化を示す細胞がみられたが, 角化傾向の強い症例または弱い症例ではほとんど認められなかった。この理由として角化傾向の中等度の症例では部分的に強い角化傾向を示す細胞が混在し遊出したのに対し, 角化傾向の強い症例では遊出細胞は基底細胞に相当する細胞で, 弱い症例では本来強い角化を示す細胞が少ないためと考えられた。また同一症例で, 原発巣と転移巣について検索した1例では, 類似した組織所見であったが, 遊出細胞所見では転移巣由来細胞の方が増殖が活発で, やや末分化な傾向を示していた。
収録刊行物
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- 口腔病学会雑誌
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口腔病学会雑誌 42 (4), 444-472, 1975
口腔病学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282681318747904
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- NII論文ID
- 130004281973
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- NII書誌ID
- AN00302674
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- ISSN
- 18845185
- 03009149
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- NDL書誌ID
- 1687283
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- PubMed
- 1063237
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- PubMed
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可