薬剤の超音波浸透による歯質耐酸性の向上に関する研究

  • 落合 良仁
    東京医科歯科大学歯学部第1歯科保存学教室ライオン歯磨株式会社基礎研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Ultrasonic Application of SnF<SUB>2</SUB> on the Acid Resistance of Enamel
  • ヤクザイ ノ チョウオンパ シントウ ニヨル シシツ タイ サンセイ ノ コウ

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抄録

効果的なう蝕予防方法を探索するために超音波 (19KHZ) によってフッ化スズ液 (8%) をエナメル質に浸透させることを試み, その耐酸性の向上を無処理および塗布法と比較検討した。<BR>各処理群のエナメル質面をブラッシングと永洗により十分清掃した後酢酸バッファーで脱灰し, その後の硬さ (VHN) , 脱灰中に溶出したCaイオン量, 脱灰面のSEM観察, および取り込まれたフッ素量を測定し, その成績によって耐酸性を比較した。<BR>その結果, 脱灰後の硬さ, および酸溶解性に関しては無処理群と塗布群間に有意差はみられなかった。しかしながら塗布群に対して, 超音波処理群エナメル質の脱灰後の硬さは2倍以上となり, 酸溶解性は2分の1にも減少していた。酸によるエナメル面の形態上の荒れは無処理群では蜂ノ巣状になったものさえあり, 塗布群では小柱の凹凸や小孔を生ずる程度であったが, 超音波処理群では酸処理前の研磨条がそのまま残っていた。なお, 超音波処理群エナメル質に取り込まれたフッ素は塗布群の4倍であった。<BR>これらの実験結果から, 超音波処理は, フッ化スズによるエナメル質の耐酸性効果を著しく向上させることが明らかになった。

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