軟口蓋造影X線規格写真撮影法による鼻咽腔諸組織の形態ならびに機能に関する研究

  • 吉田 広
    東京医科歯科大学歯学部第1口腔外科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • A Roentgenographic Study on Configuration and Function of Velopharynx
  • ナンコウガイゾウエイ Xセン キカク シャシン サツエイホウ ニ ツイテ
  • Part 1 Visualization of the soft palate, posterior pharyngeal wall and hard palate by cephalometric radiography with contrast media
  • 第1報軟口蓋造影X線規格写真撮影法について

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説明

鼻咽腔閉鎖不全症例の鼻咽腔諸組織の形態および機能を明らかにするため, その一端として健常者36名, 口蓋裂手術後症例46例, および明瞭な口蓋裂が認められないにもかかわらず開放性鼻声を示す, 口蓋裂以外の先天性鼻咽腔閉鎖不全症例34例の3群を対象として本研究を行なった。本報ではそれら症例について, 側方頭部X線規格写真撮影法, 永久磁石利用の側方頭部X線規格写真撮影法, 軟口蓋造影X線規格写真撮影法 (各種の造影剤を使用した著者考案の側方頭部X線規格写真撮影法) , 頭部正中矢状面の断層撮影法, および側方頭部X線映画法を用い, 軟口蓋, 咽頭後壁等, 鼻咽腔軟組織部分の形態, ならびにそれらに近接する硬組織として硬口蓋を対象としてX線写真撮影を行ない, どの撮影法が鼻咽腔諸組織の形態を明示するのにもっとも適しているかを比較検討した。<BR>その結果, 造影剤を使用した軟口蓋造影撮影法による成績が良好であった。<BR>また, 本研究に使用した5種の造影剤 (コンレイ, 76%ウログラフィン, 硫酸バリウム, プロピリオドン水性懸濁液, プロピリオドン油性懸濁液) のうちでは, プロピリオドン油性懸濁液, 造影性, 刺激性, 粘稠性, 停滞性の点もっともすぐれていた。<BR>撮影条件については管電圧80kVpの場合に鼻咽腔諸組織が明瞭に描出された。<BR>結論として, 管電圧80kVp, 焦点―フイルム間距離165cm, 露出約20mAsでプロピリオドン油性懸濁液 (油性ディオノジール) を使用した軟口蓋造影X線規格写真撮影法が, いずれの症例においても, 軟口蓋, 咽頭後壁の形態, および硬口蓋の長さを描出するのにもっとも適していた。<BR>本法により, 従来X線学的にその描出が非常に困難であった, 口蓋裂以外の先天性鼻咽腔閉鎖不全症例の軟口蓋, および口蓋垂の形態が明示された。さらに, 本造影剤の軟口蓋の形態への影響に関して, 健常者7名について, 造影した場合と造影しない場合のX線写真所見を比較検討したところ, 軟口蓋の計測値の差は, 長さで0.4±0.6mm, 厚さで0.3±0.4mmと小さく, 造影剤の使用による軟口蓋の変化はほとんど認められなかった。

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