日本人屍体顔面部皮膚割線に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • Cleavage Lines in the Facial Skin of Japanese Cadavers
  • ニホンジン シタイ ガンメンブ ヒフ カッセン ニカンスルケンキュウ 2 ソシ
  • Part 2 Microscopic and Histologic Findings
  • 第2報組織学的観察所見について

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説明

皮膚割線と皮膚真皮における結合織線維, とくに膠原線維および弾性線維の配列状態との関係についての記載は多い。しかし, それら従来の研究者による報告は, 観察を行った皮膚の部位が不明瞭であるとともに, 簡単なしかも断片的な観察に基づくものが多い。そこで著者は, 49歳から90歳 (不詳2体) までの男子7体, および女子3体計10体の日本人屍体の顔面に皮膚割線を発現させ, 各顔面の鼻唇溝部, 下口唇皮膚部, オトガイ部のそれぞれの部位について, 皮膚割線もしくは顔面正中線を基準として各断面の切片を作製し, 各部の皮膚真皮における膠原線維および弾性線維の配列状態について, 真皮表層から深層にいたる推移変化を観察するとともに, それらの所見をもとにして真皮各層における皮膚割線との関連性について観察を行い, 次の結果を得た。<BR>1) 鼻唇溝部では, 真皮の膠原線維ならびに弾性線維が同一方向に, しかも両線維がほぼ一定方向に配列しているために, 割線裂隙が真皮全層にわたって線維の長軸方向に一致して線状に出現している。<BR>2) 下口唇皮膚部では, 乳頭層から乳頭層直下に続く深層で皮脂腺の導管や皮脂腺の浅層の一部が出現する領域までは, 鼻唇溝部と同様に割線の裂隙が線維の配列方向にそって線状の裂隙を形成している。しかし深層では膠原および弾性線維が各種方向に不規則に配列しているため, 真皮深層の割線は線状にならず, 線維の配列状態にしたがって, 分葉状やヒトデ型などの不規則な形態の裂隙を示している。<BR>3) オトガイ部では, 真皮全層にわたって膠原線維および弾性線維が各種方向に不規則に配列しているため, オトガイ部の割線は線状にならず, 線維の配列状態にしたがって, 真皮全層にわたって分葉状やヒトデ型などの不規則な裂隙を形成している。

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