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- 石井 敏彦
- 九州大学歯学部歯科保存学第2講座
書誌事項
- タイトル別名
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- The Membrane and Contractile Properties of Extra-Lingual Muscles of the Bullfrog
- 食用ガエル外舌筋の膜性質と収縮について〔英文〕
- ショクヨウ ガエルガイ シタ キン ノ マク セイシツ ト シュウシュク ニ
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抄録
食用ガエルの外舌筋(舌骨舌筋・オトガイ舌筋)について, 組織化学的特性, 筋膜の生物物理学的特性ならびに興奮収縮連関機構について研究した.1)舌骨舌筋は, myosin ATP ase染色とSDH染色による分類で, 速筋と遅筋よりなり, 前者の直径は33.4μm後者では16.2μmであった.AChE染色では神経筋接合部は, "en plaque"と"en grappe" typeが見られ, 前者は速筋, 後者は遅筋で観察された.オトガイ舌筋の形態学的性質は, 舌骨舌筋の速筋と同様であった.2)舌骨舌筋とオトガイ舌筋の速筋線維は, 静止時と活動時の膜の性質は同様であり, 一方舌骨舌筋の遅筋は前者に比べ, 多くの性質が異っていた.即ち, 遅筋は速筋に比べ, 低い膜電位(-83.1mV vs -92.4mV), 大きな長さ定数(4.24mm vs 1.78mm), 大きな膜の時定数(42m sec vs 18m sec), 大きな内部抵抗(4.03MΩ vs 1.01MΩ), 大きな膜抵抗(19.3kΩcm^2 vs 4.06kΩcm^2)を示した.筋のこれらの性質は, ヒキガエルや, 食用ガエルなどの他の遅筋線維で述べられている.典型的な遅筋線維として分類できる.3)微小終板電位(mepp)と終板電位(epp)を両筋より記録した結果, 速筋と遅筋では, 発生方式が明らかに異っており, 速筋はeppより活動電位を発生し遅筋は発生しなかった.meppの大きさと発生頻度もまた速筋と遅筋では異っていた.以上の結果から, 速筋はfocal innervation "en plaque"であり, 遅筋はdiffuse innervation "en grappe"であると考えられる.4)速筋と遅筋の興奮収縮連関機構について観察した.この機構は遅筋と速筋では異っており, 前者では, 収縮発生のための脱分極閾値は低く, eppが直接収縮を引きおこすが, 後者では閾値が高く, スパイク発生の必要を示している.5)収縮は過剰K+溶液または電気刺激によっても発生するが, 速筋と遅筋で異なっていた.電気刺激により発生した攣縮は, 前者では後者より収縮期間が短く, 強縮を発生するのに高い刺激頻度を必要とした.後者ではK-拘縮は持続するが, 前者では減衰した.6)以上の観察から食用ガエルの舌運動は, 外舌筋を含め, その機能により, 速筋または速筋と遅筋から構成され, その協調作用により舌運動が円滑に行なわれていることが推測される。
収録刊行物
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- 九州歯科学会雑誌
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九州歯科学会雑誌 32 (4), 435-454, 1978
九州歯科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282681325696384
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- NII論文ID
- 110003007155
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- NII書誌ID
- AN00054335
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- ISSN
- 18808719
- 03686833
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- NDL書誌ID
- 2074273
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可