白頭山附近の森林土壤た就て

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  • On the Forest Soil in the Vicinity of Mt. Hakutô

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抄録

1. 本調査は白頭山附近に於て,林相及地形を異にする四個所の森林土壤に就きそのプロブイルの形態及土壤の理化學的性質を比較觀察し,以て土壤-氣候-植被-地形の相關々係につき考察を試みた。<br> 2. 當地帶のN-S係數は513内外,雨量率は156~408内外にして濕潤寒冷なる地方に屬す。<br> 3. 當地帶一帶は玄武岩の熔岩臺地にして海抜300m以上の高原をなす。局部的にアルカリ粗面岩が介在し,又所々に於て熔岩の下部に存する花崗岩が露出してゐる。基岩の上部にはその風化土層が存し,最表部には白頭山最後の噴出物たる火山の層が存する。<br> 4. 當地帶の森林は寒帶林に屬し,大體に於て海抜1,800m以下にはテウセンカラマッ群叢が, 1,800~2,050mの間にはエゾマツータウシラベ群叢が2,050~2,200mの間にはエゾノタケカンバ群叢が分布してゐる。<br> 5. 當地帶に於て,テウセンカラマツ林及エゾノタケカンバ林ではポビソル化作用 (Podsolization) の可成り進行した Stremme 教授の所謂褐色森林土壤 (Braune Waldböden) が生成され,エゾマツータウシベ林下では同教授の所謂「中度に漂白された山岳鐵銹色森林」(Mittel-geb1eiehte Gebirbsrostfarbener Waldboden)が生成されてゐる。<br> 6. 低地及熔岩臺地の平坦地に於ては Honvoy-ningen-Huene 氏の所謂「濕濶森林土壤」(Nasse Waldböden)が生成され,火山砂層の直下(熔岩の風化土層の上部に堅硬なる盤層 (Fester Untergrund) を呈するグライ層 (Gleihorizont) が發達してゐる。斯る個所は濕原的相觀を呈し斯る濕原の改良は盤層の機械的破壞除去により達せらるべきも又盤層を貫く排水孔を穿掘することも效を奏するものと考へられる。<br> 7. 上記の諸土壤は何れも酸性強く,鹽基飽和度低ぎ故に適量の石灰を施與することは土壤の理化學的性質の改良に効多かるべきものと考へられる。<br> 最後に本稿を草するにに當り種々御教示を賜りたる鏑木場長及び種々御助言を賜りたる苫名技師に深厚なる謝意を表すると共に,土壤採集に際し種々便宜を賜りたる齋藤龍本氏及相良廣高氏に謝意を表する次第である。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282681330087808
  • NII論文ID
    110002835734
  • NII書誌ID
    AN00198561
  • DOI
    10.11519/jjfs1934.22.7_404
  • ISSN
    21858195
    0021485X
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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