壮齢林肥培に関する研究 (IV)

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on Fertilization in Established Stands (IV)
  • 壮齢林肥培に関する研究-4-スギ壮齢林に対する生育相別施肥試験〔英文〕
  • ソウレイリン ヒバイ ニ カンスル ケンキュウ 4 スギ ソウレイリン ニ タイスル セイイクソウ ベツ セヒ シケン エイブン
  • スギ壮齢林に対する生育相別施肥試験
  • Examination of Fertilization Periods According to Different Growing Phases of Sugi (<i>Cryptomeria japonica</i>) Stands

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説明

この試験は,スギ壮齢林における施肥適期を知るために, 29年生スギ林の各生育相に応じた時期ごとに施肥して,その施肥効果を,葉の栄養分析と,生長量測定との両面から検討したものである。実際に施肥されたのは, 1月, 4月, 6月, 8月, 11月の各月で,施肥量は, haあたりの要素量で, N-P2O5-K2Oがそれぞれ300-160-160kgであつた。<br> なお,試験成績は4生育期間についてのものである。<br>1. 4年間の材積生長量では,いずれの施肥区も無肥料区にくらべて, haあたり29m3以上の増収となり,とくに6月施肥区は68m3とすぐれた肥効を示した。競争による自然枯死木のでるような密度の高い林分で,しかも年生長量22m3もの優良な林分で,なおこのような肥効をみたことは注目されるべきであろう。<br> 2. 施肥によって葉のリンとカリ含有率は変わらなかったが,チッソ含有率は高まった。<br> 3. チッソ含有率の高まり方は,生育休止期ではややおくれ,生育期では施肥後間もなく高まった。しかしながら施肥後の葉のチッソ含有率は,施肥時期のちがいにもかかわらず,似たような値となり,そのままの高いレベルで翌年も持続した。<br> 4. 2年連続施肥区のチッソ含有率も, 1回施肥区のそれと変わらなかったことから,チッソについての施肥量は十分であったように思われる。そして2%前後の値は,この地域でのスギ壮齢林分が,十分な生育をするのに必要なひとつの指標値のように考えられた。<br> 5. 以上のような肥効による材積増加量と,葉の養分含有率による栄養生理学的検討とから,スギ壮齢林での施肥適期は,輻が広く,どの季節でも相当の肥効がみられたが,とくに新葉の展開の終了する初夏, 6月ころのように思われた。<br> 6. 施肥後の年々の材積にみられる肥効の経過は,気候の変化にも対応するので,いちがいにはいえないが,施肥年よりも翌年以降に大きくなり3年目に最大に達し,少なくとも4年以上は続くようであった。このことから,主伐期のスギ壮齢林での施肥は,少なくとも主伐の4年以上前が適当のように考えられた。<br> 7. 施肥による材積生長量増大は,優勢木ほど大きかった。また肥効のいちじるしい優勢木ほど,樹冠の内部すなわち幹の上部と根元との肥大生長が顕著であった。

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