アカマツの葉緑素変異苗の発生ひん度による自然自殖率の推定および葉緑素変異苗の遺伝

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of the Degree of the Natural Self-Fertilization by the Frequencies of Chlorophyllous Variants in Japanese Red Pines, <i>Pinus densiflora</i> SIEB. et ZUCC., and the Inheritance of the Variants
  • アカマツ ノ ヨウリョクソ ヘンイ ナエ ノ ハッセイ ヒンド ニ ヨル シゼンジショクリツ ノ スイテイ オヨビ ヨウリョクソ ヘンイ ナエ ノ イデン

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説明

アカマツの自然受粉種子から分離した葉緑素変異苗のひん度により自然自殖率を推定した。交配試験の結果, 5 変異苗グループ内の各個体からの変異苗は,それぞれ単一の劣性遺伝子により遺伝するものと考えられる。変異苗には白子苗,黄子苗,淡緑色苗,白初生葉苗, Transient albinoがある。<br> 3 林分の320個体(表-1参照)の中で22個体(6.87%)が前述の劣性遺伝子についてヘテロ接合型と考えられる。この割合は大部分は1963年の1回だけの個体別の自然受粉種子により推定したので,低めの推定値であろう。<br> 1961年から1966年までの22個体についての自然受粉後代, 56個の観測値中,葉緑素変異苗の発生率は0%から6.0%にわたり,平均0.97%および標準偏差, 1.39%を示した。各劣性遺伝子についてホモ接会型の変異苗はほとんど致死なので,一つの自由交配集団での遺伝子ひん度(P),自殖率(S)およびあるヘテロ接合型個体から生ずる変異苗のひん度(F)との関係は, S=(2F-P)/(0.5-P)となる。黄子苗およびTransient albinoの自然自殖率は,それぞれ, 11%および2%と推定された。これらのアカマツの年次ごと個体単位にみた自然自殖率の最高の範囲は0%から24%の間であった。しかし,平均自殖率は,白初生葉苗-2.0%,白子苗-1.42%および淡緑色苗-0.0%であった。<br> 関係する遺伝子のひん度,雌花と雄花の量,自家和合性の程度などによって,林分内のアカマツの自然自殖率は個体ごとに,また,年次により変動するが,平均自殖率は5%以下と考えられる。

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