地形と萌芽の発生様式からみたカツラの萌芽特性

書誌事項

タイトル別名
  • Sprout Trait of <I>Cercidiphyllum japonicum</I> Based on the Relationship between Topographies and Sprout Structure
  • チケイ ト ホウガ ノ ハッセイ ヨウシキ カラ ミタ カツラ ノ ホウガ トクセイ

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説明

埼玉県大滝村•奥秩父の渓畔林で, カツラの萌芽更新の特性を, カツラが生育している立地の地形や萌芽の発生する幹の基部に近い根系の状態の違いから調べた。萌芽本数は, 不安定な立地のV字谷ではサイズの大きい幹を持つ個体(株) ほど多く, 安定した立地の土石流堆積地ではサイズに関係なく少なかった。また, 根が地上に露出している個体は多く萌芽し, 根が地中にある個体では萌芽が少なかった。V字谷では根が地上に露出している個体が多く, 土石流堆積地では根が地中に張っている個体が多かったため, 萌芽発生様式と地形の間に関連がみられたが, これは, 急峻なV字谷では根が地上に露出していることと関連があるためと考えられた。カツラの萌芽は幹の配置から順次発生しているようにみえたが, V字谷で露出している根系が降雨などに伴う定常的な地表面の土砂流失などの刺激を受けて, 萌芽が発生しているということが, 可能性の一つとして考えられた。こうしたカツラの萌芽は実生の定着の難しい立地での個体維持に貢献していることが推察された。

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