漏脂病被害林分におけるヒノキ樹体の低温履歴時間の空間変動特性

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  • Spatial variation of exposure duration to low temperature in hinoki (Chamaecyparis obtusa Endl.) forest damaged by resinous canker disease.
  • ロウシビョウ ヒガイリン ブン ニ オケル ヒノキ ジュタイ ノ テイオン リレキ ジカン ノ クウカン ヘンドウ トクセイ

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抄録

ヒノキ漏脂病の被害林分において, 冬から春にかけての樹体温度測定を行った。ある基準温度以下であった時間を低温履歴時間と定義し, それを外的基準とする数量化I類によって低温履歴時間の空間変動傾向を解析した。そしてヒノキ漏脂病患部の空間分布傾向との関係を検討した。基準温度には調査全期間を対象に-2.9~-2.3°Cと-1.6~-0.9°Cの二つの温度範囲を, また3月後半以降に期間を限定して0.4°C以下の温度範囲を設定した。樹体温度が-2.9~-2.3°Cよりもさらに低下する多くの場合は, 数日間にわたって低温状態が継続しており, これは寒波の来襲に起因するものと考えられた。これに対し樹体温度が-1.6~-0.9°Cより低下するが-2.9~-2.3°Cまでは低下しない場合は, 主に放射冷却などによると考えられる一時的なものであった。樹体温度が-2.9~-2.3°Cよりもさらに低下する場合, 斜面上の中•下部と樹幹上の高さ1.0~3.0mの空間で, 低温履歴時間が長い傾向にあった。これは, 解析を行った三つの基準温度の中ではヒノキ漏脂病患部の分布傾向と最も良く一致した。これは寒波の来襲などによる比較的厳しい低温状態がヒノキ漏脂病患部の形成要因の一つである可能性を示している。

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