米の世界貿易について

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抄録

米の世界貿易について述べる前に, 先ず米という第一次産品が商品として持つ性格のあらましをつかむために, 若干申述べてみたい.常識的なコースとし, 先ずどの位とれるかであるが, FAOの農業経済統計月報1958年12月号によると, 籾で1948~52年平均が1億6360万屯, 1956年が2億1520万屯, 1957年が2億660万屯という事になつている (何れもソ連を除く) .之が摂取形態としての精米べースに換算してどの位の量になるかは, 各国に於て歩留りが非常に区々であり一概に言い切れないが, FAOが採用している国際的に適用出来る籾→精米の歩留り65%を適用すれば, 精米で大略1億3000万乃至1億4000万屯と押えて良いと考えられる.データーは若干古いが,国連の“商品貿易と経済発展”1953年版によると, ソ連を除く世界の第一次産品生産額の内, 籾は小麦, とうもうろし, 棉花, 砂糖等の農産物ばかりでなく, 石炭, 石油, 銑鉄等の産額すらも上廻つていた.しかしその内米が国際貿易の場に出て来る数量は非常に僅かであり, 棉花, 羊毛,コーヒー, 小麦, ゴム等の方が国際貿易に占める重要性は米より遙かに大きい.米の貿易量は年々僅か600万屯程度であり, 戦前米の貿易量が最大であつた頃でも1000万屯を越した事は殆んどなかつた.即ち世界の米の大部分はその生産された国で消費されているという事である.世界の耕作地の約半分は穀作地であり, 更にその約1/5が米作面積である.そしてこれが北緯45度から南緯40度に亘る間の約90力国で栽培されている.しかし生産の90%以上は極東アジアのモンスーン地帯で生産される事は周知の通りである.極東のある地域特に華北, 北部及び西部インドでは米の生産も消費も比較的少いが, その他のアジアの大部分, 恐らく人口10億を遙かに超える人々がその主要な食糧源として, 又収入源としても米に依存している状態である.

収録刊行物

  • 熱帯農業

    熱帯農業 3 (1), 1-5, 1959

    日本熱帯農業学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282681337188736
  • NII論文ID
    130004373140
  • DOI
    10.11248/jsta1957.3.1
  • ISSN
    21850259
    00215260
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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