難治性腹水の病態と治療

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  • Pathogenesis and treatment of refractory ascites

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利尿剤治療により軽減できない,あるいは早期再発を防止できない中等量以上の腹水を難治性腹水という.わが国では利尿薬の投与上限量が欧米の基準のように明確でない.その背景には進行肝硬変にともなう門脈圧亢進症,神経性,体液性因子の著しい異常があり,循環血液量の増加,有効循環血液量の減少(underfilling state),腎Na·水排泄の著減を特徴とする.根本治療は肝移植であり,開発中のものも含め薬物治療には多くを期待できない.QOLを改善し得る対症療法に腹水穿刺排液,腹水濾過濃縮再静注法,腹膜頸静脈(PV)シャント,経頸静脈肝内門脈大循環シャント術(TIPS)などがあるが,治療にあたってはそれぞれの手技の適応,限界,有害事象をよく理解する必要がある.個々の症例ごとに肝機能,腎機能,合併症の程度を勘案して適切な治療法を選択し,十分なインフォームドコンセントを得た上で施行すべきである.<br>

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