イチゴ炭疽病の育苗培養土汚染による発生と薬剤防除効果

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タイトル別名
  • Anthracnose of strawberry in nursery medium infested with Glomerella cingulata (Colletotrichum gloeosporioides) and fungicidal control of the disease.
  • イチゴタンソビョウ ノ イクビョウ バイヨウド オセン ニ ヨル ハッセイ ト ヤクザイ ボウジョ コウカ

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抄録

イチゴ炭疽病菌の地下部からの侵入感染の可能性を検討するために,病原菌の浸根接種,灌注接種と噴霧接種による子苗の発病を比較した.その結果,浸根接種や灌注接種では,葉の汚斑症状や葉柄の黒斑症状が見られず,葉柄基部が黒変して株全体が萎凋枯死した.これらの株では新根の発生が少なく,根の部分的褐変や黒変が認められた.発病程度は浸根接種株で最も激しく,噴霧接種株がこれに次ぎ,灌注接種株では弱く,病勢進展もやや遅れた.発病株から炭疽病菌を分離した結果,噴霧接種株は葉,葉柄から高率に分離されたのに対し,浸根接種株は葉,葉柄,根冠部および根から高率に分離された.以上の結果から,炭疽病菌は葉や葉柄などの地上部感染だけでなく,根冠部や根からも侵入して感染すると考えられた.育苗培養土としてピートモス,オガクズ,砂土および土壌を入れた鉢をイチゴ発病株に隣接して置き,頭上灌水で管理したところ,ピートモスやオガクズなどの鉢土表面から炭疽病菌が高率に検出され,これらの鉢土に子苗を植え付けると苗が発病した.発病株は葉や葉柄の黒斑症状は認められなかったが,いずれも萎凋症状を呈した.このことから,鉢土中の病原菌が伝染源となり,苗に発病を引き起こすことが示唆された.イチゴ炭疽病菌の分生子で汚染した土壌は,ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤の1000倍液を灌注することにより,高い防除効果が認められた.<br>

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