我が国における農業関連企業および農家等の植物病に対する対処の実態調査

  • 福田 一徳
    東京大学大学院農学生命科学研究科
  • 濱本 宏
    東京大学大学院農学生命科学研究科 現:法政大学生命科学部
  • 橋本 将典
    東京大学大学院農学生命科学研究科
  • 中山 万奈美
    東京大学大学院農学生命科学研究科
  • 根津 修
    東京大学大学院農学生命科学研究科
  • 鍵和田 聡
    東京大学大学院農学生命科学研究科 現:法政大学生命科学部
  • 大島 研郎
    東京大学大学院農学生命科学研究科 現:法政大学生命科学部
  • 難波 成任
    東京大学大学院農学生命科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • A survey on the current status of plant disease control by agricultural firms and farmers in Japan.
  • ワガクニ ニ オケル ノウギョウ カンレン キギョウ オヨビ ノウカ トウ ノ ショクブツビョウ ニ タイスル タイショ ノ ジッタイ チョウサ

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抄録

植物病に対して的確な対処を行うことは,植物の栽培等に携わる関係者にとって極めて重要な課題である.近年,植物の栽培等に携わる関係者は多様化する傾向にあり,生産農家以外にも多数の企業等が植物病の問題に直面するようになっていることから,植物病に対する対処に関する支援体制の見直し・拡充を検討する必要がある.そこで,2007年7月に,植物の栽培等に携わる企業および農家等を対象として,植物病の発生状況,対処状況,支援に対するニーズ等の把握を目的とするアンケート調査を実施し,植物病に対する対処に関する新たな支援の可能性について考察を行った.調査の結果,回答者の9割以上が植物病の問題を抱えており,特に企業では6割強が植物病の防除に年間100万円以上を費やしていることが明らかになった.また,企業および農家等のいずれにおいても植物病の診断・対処を第三者に依頼・相談した場合には高い効果が得られているものの,企業が第三者に依頼・相談する割合は農家等に比べて大幅に低く,5割程度にとどまっていることが明らかになった.その一方で,植物病の診断・防除・予防サービスに対する企業のニーズは高く,有償でもサービスを受けたいとする割合が非常に高いことが示された.我が国では,これまで農業試験場や農業改良普及センター等の公的機関が主に農家向けに植物病に対する対処に関する支援を提供してきたが,本調査結果から,公的機関による既存の支援に加え,特に企業向けに植物病の診断・防除・予防に関する新たなサービスを提供する体制を構築する意義は大きいことが示唆された.

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