20-Methylcholanthrene によるRFマウス白血病の発生におけるウィルスの役割に関する研究

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タイトル別名
  • Studies on the Role of Virus in Leukemogenesis by 20-methylcholanthrene in RF mouse
  • 20-Methylcholanthrene ニ ヨル RF マウス ハッケツビョウ ノ ハッセイ ニ オケル ウィルス ノ ヤクワリ ニ カンスル ケンキュウ エイブン

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説明

マウスの自然発生白血病にウイルスが原因的役割をなしていることは今日一般に認められており, またX線誘発マウス白血病も無細胞濾液による移植が可能なことが知られている. これらの知見は化学物質により惹起される白血病の発生にもウイルスが関与するのでないかという興味ある問題を提起するものであるが, 末だこれに関する陽性の報告はみられない. 著者らはこの問題を解明すべくRFマウスに20-メチルコラントレンを塗布することによって高率に白血病を惹起せしめ, なおその無細胞濾液による移植実験と白血病組織におけるウイルス粒子の電子顕微鏡内観察を試み, 次の結果を得た.<br>1. 20-メチルコラントレン塗布による白血病発生率は, リンパ性白血病のものが48%, 骨髄性白血病のものが, 40%, 計88%であった. しかるにRFマウス自然白血病の発生率は300匹中に僅かに2匹, 0.7%であった.<br>2. 20-メチルコラントレン誘発のリンパ性並に骨髄性白血病をもつRFマウスの無細胞濾液を同系の新生児マウスに接種することによって, 13匹中4匹にリンパ性白血病を起こさせ, またその無細胞濾液により継代移植することにも成功した.<br>3. 電子顕微鏡内で20-メチルコラントレン誘発白血病マウスのリンパ腺内にウィルス粒子が証明された. このウィルス粒子は従来観察されているマウス白血病ウィルスと, その形態, 大きさ, 発生様式, 分布などにおいてほぼ一致している.<br>以上の事実より, 発癌性化学物質である20-メチルコラントレンはRFマウスに潜在しているウィルスを活性化することにより白血病を惹起するのであろうと推論した.

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