脂質代謝異常を伴ったWeber‐Christian病の1剖検例

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タイトル別名
  • An autopsy case of Weber-Christian disease associated with abnormal lipid metabolism.

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抄録

Weber-Christian病(W-C病)の1例を経験し,脂質代謝異常の存在が推定されたので報告する.症例は57才,女.昭和56年8月,発熱,両下肢の腫脹熱感にて入院.四肢,殿部に皮下硬結を50個触知し,皮膚生検にてW-C病と診断された.血清脂質値は病勢期の低下および回復期の上昇傾向を認めたが,遊離脂肪酸(FFA)のみは高値を持続した. catecholamine負荷試験,糖負荷試験によるFFAの反応は良好で,脂肪組織に対するFFAの調節機構は保たれていた. post heparin lipolytic activity (PHLA)は1.6FFAμmol/ml/h (正常者7.0FFAμmol/ml/h)と低下し,さらに脂肪負荷試験ではK2=0.0185% (正常K2=2.60±0.52%:mean±SD.)と顕著な低下を認め,本症例にTG-richリポ蛋白であるVLDL,カイロミクロンの処理障害が存在した.血清の脂肪酸構成においてはC16:0, C16:1の上昇, C18:2の低下を認め,脂肪組織では,病巣部・非病巣部におけるC16:0, C18:0の低下および,病巣部でのC16:1の増加を認めた.また本症例では細胞性免疫能低下など免疫異常は認められるものの,超遠心分離後のリポ蛋白に免疫複合体を認めず,又酵素抗体法にて脂肪細胞に免疫グロブリン,補体の沈着を認めなかつた.以上病巣よりの脂肪酸動員増加,並びにTG-richリポ蛋白の異化障害が本症例の脂質代謝異常として存在した.

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