選択的低アルドステロン症

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タイトル別名
  • SELECTIVE HYPOALDOSTERONISM
  • センタクテキ テイ アルドステロンショウ

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抄録

近年放射免疫測定法の普及に伴い,内分泌疾患の診断は著しい進歩をみせた.この選択的低アルドステロン症(SHA)も,レニンおよびアルドステロンの放射免疫測定法が一般化するにつれ,急にその発見頻度が増し,注目されてきた疾患である.しかし,これまでSHAに関しての確立した定義がないためか,報告された各症例の病態は少しずつ異なり,またその病名も, “選択的低アルドステロン症”, “アルドステロン単独欠損症”,あるいは“低レニン性低アルドステロン症”など種々な名称が使われてきた.このような症例の報告が増加するとともに,その病態も少しずつ異なることが明らかとなり, SHAといつても副腎内に原因があるタイプと,副腎外のアルドステロン調節因子に障害があつて生じるタイプとは明らかに異なる病態であることが判明し,その治療に関しても両群に対して異なる療法がとられている.それゆえ, Cosgriffらが提唱するように, SHAのうち副腎内に原因があつてアルドステロンの選択的低下を生じ,高K+血症を来すものをI型,副腎外の原因により選択的なアルドステロンの低下と高K+血症を呈するものをII型(主として低レニン性低アルドステロン症)として分類することは,混乱しているこれらの病態を整理する意味で重要と思われる.さらに最近,このSHAには高K+血症とともに高C1-性代謝性アチドーシスを合併する頻度が高いことが注目され,それがこれまでに報告されている尿細管性アチドーシスとは異なるタイプのものであることが判明し,これを尿細管性アチドーシス4型として分類しようとする試みもなされており,アルドステロンの低下とこのタイプの尿細管性アチドーシスとの関係が注目されている.

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