がん(肺がん,じんがん)に合併した膜性じん症の免疫複合体の研究  IgGリウマトイド因子の関与について

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  • INVOLVEMENT OF IgG-IgG RHEUMATOID FACTOR IN IMMUNE COMPLEX MEDIATED MEMBRANOUS NEPHROPATHY OF CANCER (CLEAR CELL CANCER AND OAT CELL CANCER) PATIENTS

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抄録

最近我々は,膜性腎症,膜性増殖性糸球体腎炎,ループス腎炎の免疫複合体がlgG-lgGリウマトイド因子より成る事を提唱している.今回,癌(肺,腎)に合併した膜性腎症の沈着免疫複合体も同様の構成成分よりなる知見を得たので報告する.剖検腎で光学顕微鏡的並びに螢光抗体法にて, IgGの糸球体係蹄への顆粒状沈着を認め,膜性腎症の合併が確認された肺癌(oatcell carcinoma)並びに腎癌(clear cell carcinoma)の2症例の腎凍結切片にヒトγ-globulin,熱変性ヒトγ-globulin,ヒト-IgG, -F(ab′)2, -Fc分屑,ヒト腎刷子縁,家兎-,ラノト-γ-globuhn, DNA,対照としてリン酸緩衝液を添加, 1時間反応, 30分洗浄の操作を6回繰り返し, IgGの局在について検討した.又腎組織紬出液についてRAテスト.並びに螢光色素を標識し,直接螢光抗体法を行なつた.その結果ヒトγ-globulin,ヒト熱変性γ-globulln,ヒト-IgG,ヒト-Fc分屑により沈着IgGの溶出を認めたが,ヒト-F(ab′)2,ヒト-刷子縁,家兎-,ラット-′-globulin,リン酸緩衝液では沈着IgGは溶出しなかつた.一方,抽出液によるRAテスト.直接螢光抗体法は陰性であつた.以上の結果は免疫複合体上に過剩の抗原を反応させる事により免疫複合体の溶解をきたした事が考えられたが,その因子としてIgG特にFc分屑が最も重要であつた.従来,癌に合併した免疫複合体型腎炎の成因として癌抗原,組織抗原が提唱されているが,我々は,その構成成分の大部分がIgG-IgGリウマトイド因子よりなる事を示唆する所見を得た.

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