トランスサイレチン:その機能と病原性

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タイトル別名
  • Transthyretin: Its Functions and Involvement in the Pathogenicity of Various Diseases
  • 医学と医療の最前線 トランスサイレチン--その機能と病原性
  • イガク ト イリョウ ノ サイゼンセン トランスサイレチン ソノ キノウ ト ビョウゲンセイ

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抄録

トランスサイレチン(transthyretin:TTR)は,レチノール結合蛋白質,およびサイロキシンの担体となることからこの名が付いている.血中に約20~40mg/dl存在する半減期1.9日の血漿蛋白質のひとつで四量体として機能する.本蛋白質は髄液や眼房水にも他の蛋白質と比較して高濃度に存在し,Alzheimer病,うつ病,鉛中毒などの中枢神経系の疾患や,眼のビタミンAの代謝動態にTTR代謝が重要な役割を及ぼしていると考えられている.トリプトファンを多く含む蛋白質であることから,血中TTR濃度は栄養指標として重要で,栄養サポートチームの活動にも活用されている.本蛋白質は反急性期蛋白質で,炎症や感染により,血中濃度が低下するため,さまざまな疾患のプロテインチップの網羅的解析などで病因候補蛋白質としてピックアップされるがその評価は難しい側面もある.TTRはβシート豊富な構造をもつことから遺伝的に変異したTTRは家族性アミロイドポリニューロパチー(familial amyloidotic polyneuropathy:FAP)の原因蛋白質であることも知られているが,最近正常のTTRも老人性アミロイドーシスの原因蛋白質となることが注目されている.血中の異型TTRは主として肝臓で産生されることから,FAP患者に対して肝移植が行われ,効果を挙げている.<br>

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