ラジオアイソトープ法による高齢者脳疾患診断法の検討  追跡検査ならびに剖検,手術所見との対比を中心として

書誌事項

タイトル別名
  • DIAGNOSTIC EFFICACY OF RADIONUCLIDE STUDIES IN THE DIAGNOSIS OF INTRACRANIAL DISEASES IN THE AGED PATIENTS: MAINLY IN THE CORRELATION OF BRAIN SCANNING STUDIES WITH PATHOLOGICAL FINDINGS
  • ラジオアイソトープホウ ニヨル コウレイシャ ノウ シッカン シンダンホウ ノ

この論文をさがす

抄録

脳スキャンを施行した60才以上の1202例のうち剖検,手術で最終診断が得られた総計284例を中心に脳スキャンのretrospective studies行なつた.スキャン診断をうらづける病理診断が得られた例は68%,得られなかつた例は32%であつた.脳シンチグラム法の感度は67.3%,特異性69.7%であり,とくに,脳血管障害はそれぞれ60.9%, 63.5%,脳腫瘍は82.3%, 65.6%と高く,脳スキャンは有効であつた.脳血管障害のシンチグラムはその経時的変化に特徴が見られ,陽性像の陽性度が高いほど予後は不良であつた.脳出血は脳硬塞に比べ初期から陽性像を呈し,早期に死亡する例が多く,脳硬塞は長期陽性像を呈す例が認められた.老人の脳腫瘍は典型的な脳腫瘍症状を示さず,スキャン前に脳血管障害などの診断がなされていた例が1202例中10例(0.8%)に認められ,これらの診断にはスキャンが有効であつた.老人の硬膜下血種も脳腫瘍と同様その発症が非典型的であり,診断にスキャンは有効であつた. RI脳血管造影法を通常脳スキャンに併用すると診断率は50%以上上昇し,とくに,陳旧性の脳血管障害例に有効であつた.核医学診断法である脳シンチグラム法は実施にあたり副作用もなく,簡単に施行でき, dynamicな脳機能の診断が可能であるなど利点をもち,老年者の脳疾患診断検査に有効と思われた.

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ