慢性再発性膵炎を合併した高カイロミクロン血症の1例

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タイトル別名
  • A CASE OF CHYLOMICRONEMIA WITH CHRONIC RELAPSING PANCREATITIS
  • マンセイ サイハツセイスイエン オ ガッペイ シタ コウカイロミクロン ケツショウ ノ 1レイ

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抄録

高脂血症(とくに,高カイロミクロン血症)に合併した膵炎は,欧米においてはかなり多数の報告をみるが,本邦では原発性および続発性高脂血症をも含めて,その合併は希と考えられている.本症例は, 22才の男で,繰り返す腹痛,乳濁血清,血中中性脂肪の著増(3550mg/dl),リポタンパク泳動パターン,網膜脂血症,皮膚黄色腫,各種食餌負荷試験の成績よりFredrickson分類のtype I.ないしtype Vの外因性高脂血症と考えられた,また,入院中行なつた高脂肪食負荷により,血中および尿アミラーゼの上昇と共に,発熱,腹痛発作が現われ,臨床的に膵炎と診断された.高脂血症と膵炎の因果関係については,実験的に,また臨床的にも多くの検討がなされているが,現在のところ不明な点が多く,明確な結論はえられていない.本症例の場合,高カイロミクロン血症は,膵炎の軽快後も持続しており,緩解期に行なつた膵機能検査上とくに異常がみとめられないので,膵炎はむしろ高カイロミクロン血症の結果惹起されたものと考えられた.治療として,カイロミクロン形成をおさえ血中中性脂肪を可能な限り低値に維持するため,食餌性脂肪の制限の他,中鎖脂肪酸の中性脂肪投与を試み,一定の効果がみとめられた.

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