医学と医療の最前線  アスピリン(NSAID)不耐症の病態と治療

  • 谷口 正実
    国立病院機構相模原病院臨床研究センター喘息研究室

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  • イガク ト イリョウ ノ サイゼンセン アスピリン NSAID フタイショウ ノ ビョウタイ ト チリョウ

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NSAID不耐症は, 気道型と皮膚型に分かれる. 前者は, いわゆるアスピリン喘息 (NSAID過敏喘息) であり, プロスタグランディン合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ (COX) 阻害作用を持つNSAIDsにより, 強い喘息発作と鼻症状をきたし, 成人喘息の約10%を占める. 一方, 皮膚型は, 慢性蕁麻疹患者に合併しやすい. NSAID過敏喘息の典型的臨床像は, 成人後に発症する非アトピー型重症喘息で, 好酸球性鼻茸副鼻腔炎を合併し, 嗅覚低下を伴うことである. また好酸球浸潤性の中耳炎や胃腸炎を合併することもある. その特徴的病態として, システイニルロイコトリエンの過剰産生があり, 鼻茸副鼻腔がその産生源として重要である. またCOX2阻害薬は安全に使用できることが多くの報告で確認され, 本症の本態は, COX1阻害薬過敏と考えられつつある. 臨床上注意すべき点として, 問診にてもNSAIDs誘発歴の無い症例が少なくないこと, 発作増悪しうるNSAIDsは, あらゆる剤型 (内服や坐薬だけでなく, 貼付, 塗布薬など) が含まれること, 静注用ステロイドの急速静注で発作が増悪しやすいこと, などが挙げられる.

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