皮膚アミロイド症を伴う多発性骨髄腫にみられたepidermolysis bullosa acquisita

DOI Web Site Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • EPIDERMOLYSIS BULLOSA ACQUISITA IN MULTIPLE MYELOMA ASSOCIATED WITH SKIN AMYLOIDOSIS
  • ヒフ アミロイドショウ オ トモナウ タハツセイ コツズイシュ ニ ミラレタ

この論文をさがす

説明

皮膚アミロイド症を伴う多発性骨髄腫にepidermolysis bullosa acquisita (EBA)を合併した,きわめて希有な症例を経験した.本邦では同様症例の詳細な報告はないので,本例について概説するとともに,内科学的立場からこれらの合併の意義を考察した.症例. 1902年生,男性. 1977年2月,全身倦怠感,動悸,躯幹・四肢に水疱をきたした.正常にみえる皮膚に僅かな外力が加わると水疱が容易に形成される.同年5月,某病院で多発性骨髄腫と診断された.骨髄腫に対するcyclophosphamide療法は皮膚病変に無効であつた.同年8月本院に入院.巨大舌の傾向があるが,口腔粘膜,爪に異常はない.皮膚は前胸部,腹部,殿部,四肢に帽針頭大より小指頭大の不整形でやや弛緩した水疱を多数認め,一部に出血やびらん面が認められる. Nikolsky現象陽性,骨X線像, IgG (λ)型M成分, Bence Jones蛋白陽性,骨髄中に多数の骨髄腫細胞が存在などより多発性骨髄腫を確認した.また慢性腎不全も認める.水疱部の皮膚生検像(PAS染色, thioflavin-T染色)では,基底細胞層と真皮の間に解離を認めるとともに真皮上層にアミロイド沈着が証明された.蛍光抗体法その他により,他の水疱性疾患を除外し, EBAと診断. EBAは全身性疾患の合併が高率で,内科学的にも注目される皮膚病変である.本例については, EBAの発生との関係で, (1)多発性骨髄腫, (2)アミロイド症, (3)腎不全, (4)薬物などが問題となつた. EBAは多発性骨髄腫あるいはその合併症を告知する重要な徴候の一つとして理解すべきことを強調した.

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ