ループス腎炎の予後について

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  • PROGNOSIS OF LUPUS NEPHRITIS
  • ループス ジンエン ノ ヨゴ ニ ツイテ

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抄録

当内科で経験したARAのSLE分類予備基準を満足するSLE 180例のなかから,腎生検を施行しえた65例を対象として,病理組織学的に病型を6型に分類し,各病型の臨床病理学的検討と生検後の予後,ステロイド治療による反応性の相違について検討した結果,以下の結論をえた. membranopro-liferative GNとadvanced stageを認める症例は, minimal change, focal proliferative GN, diffuse proliferative GNを認める症例に比べ予後不良で,死亡例のすべては腎病変によるものであり,生検時に臨床的,免疫学的に高頻度に腎障害を認めた. diffuse proliferative GNとmembranous GNを認める症例では,ステロイド単独投与よりもステロイドと免疫抑制剤を併用した方が,生検後2年までの予後が良好であることを認めた.各病型間で臨床免疫学的所見,腎機能,予後などに対するステロイドの反応性がことなり,各病型の背景にある免疫異常や炎症の程度の差が関与していると考えられ,このことはループス腎炎のステロイド療法に際し十分留意すべきことと考えられた. advanced stageではステロイド大量投与による治療は疑問視され,免疫抑制剤や抗凝固剤との併用,人工透析適応の時期の選択,さらには腎移植の適応などの検討されるべきと考えられた.以上の結果から,腎生検によるループス腎炎の病理組織学的病型分類として6型に区分することは,臨床的に治療方針をたて予後を推測するうえで有用と思われた.

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