胸腺腫を合併した筋強直性ジストロフィーの1剖検例

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タイトル別名
  • MYOTONIC DYSTROPHY ASSOCIATED WITH THYMOMA -REPORT OF AN AUTOPSY CASE-
  • キョウセンシュ オ ガッペイシタ キン ゴウチョクセイ ジストロフィー ノ 1

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抄録

筋強直性ジストロフィーに胸腺腫を合併した極めてまれな剖検例を経験したので報告する.患者は46才の女性で,家族歴では姉と妹に筋強直性ジストロフィーを認める.既往歴では流産,死産があり,現病歴では小児期からgrasping myotoniaがあり, 37才の時myotonic dystrophyと診断された.昭和49年9月呼吸困難を主訴として入院した.患者は, hatchet faceで,甲状腺腫があり,四肢は著明な筋萎縮を呈していた.左肺野で呼吸音を聴取できず,脾臓は腫大していた.胸部レントゲン検査で前縦隔腫瘍と左側胸水貯留が明らかにされ,著明な呼吸機能障害が認められた.免疫学的にabsolute lymphocytopenia,血清Ig-G, Ig-A, Ig-Dに低値の傾向, DNCB感作試験陰性などpan-immunosuppressionの所見を呈した.また糖尿病をはじめとする内分泌機能の異常も認められた.全身麻酔のもとで縦隔鏡検査が施行されたが,その際に原因不明の心停止を起こして死亡した.剖検により上皮型細胞成分優位の混合型胸腺腫があることが判明し,甲状腺右葉にはfollicular adenomaを認めた.筋強直性ジストロフィーに胸腺腫を合併した剖検例としては,後藤らの報告1)に次ぐ第2番目の記載となる.

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