ループス腎炎の臨床病理学的研究抗nDNA抗体親和性(avidity)測定の意義

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タイトル別名
  • CLINICOPATHOLOGICAL STUDY OF LUPUS NEPHRITIS SIGNIFICANCE OF ANTINATIVE DNA ANTIBODY
  • ループス ジンエン ノ リンショウ ビョウリガクテキ ケンキュウ コウ n D

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抄録

ループス腎炎62例の糸球体病変を4型に分類し,免疫蛍光抗体染色像および電顕的観察所見と対比したのち,抗native DNA (nDNA)抗体の親和性と糸球体病変および臨床症状との関係,臨床経過および治療による親和性の推移について検討し,親和性と糸球体病理発生および臨床症状の発現との間に以下の知見を得た. 1)親和性は,メサンギウム増殖型,巣状増殖性病変型,び漫性膜肥厚型,び漫性増殖性膜肥厚型の順に低くなり,さらに電顕的に観察したdense depositsの沈着部位との対比より,親和性の比較的高いものではメサンギウム域から係蹄基底膜内皮下に,また親和性が低くなるにしたがつて係蹄基底膜上皮下に免疫複合体が沈着する傾向をしめした. 2)高い親和性をもつ抗体のみられる例では,腎病変は比較的軽度,かつ腎外病変が顕著であり,一方,抗体の親和性の低い例では,より顕著な腎病変を呈したが,腎外病変の出現がより少ない傾向をしめし,臨床症状と抗体の親和性が関連をもつている可能性が示唆された. 3)親和性は,経過および治療によつてゆつくりと変わりうることが明らかとなり,さらにこの親和性の変化によつて,糸球体病変も変化する可能性が示された.以上の知見より,抗nDNA抗体の親和性は,ループス腎炎における糸球体病理発生および臨床症状の発現を規定する重要な要因の一つと考えられた.

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