本態性高血圧症における昇圧反応性と血圧上昇の機序

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  • PRESSOR RESPONSIVENESS AND ITS RELATION TO THE BLOOD PRESSURE ELEVATION IN ESSENTIAL HYPERTENSION
  • ホンタイセイ コウケツアツショウ ニ オケル ショウアツ ハンノウセイ ト ケ

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抄録

本態性高血圧症患者につき,昇圧反応性と血圧,血漿レニン活性,循環動態および尿ナトリウム排泄量との相互関係をしらべ,さらにこれらに及ぼす安静の影響を検討した.高血圧症群は正常血圧群に比べ,昇圧剤に対する昇圧反応性が大きい傾向があり,とくにアンジオテンシン反応性は平均血圧値と有意の相関を示した.またアンジオテンシン,ノルエピネフリンおよび塩酸タイラミン反応性は,尿ナトリウム排泄量とも有意な相関関係を示した.腎疾患患者を含む全対象についての検討では,同様の傾向のほかに,アンジオテンシンおよびノルエピネフリン反応性が,血漿レニン活性と負の相関関係をもつことがみられた.本態性高血圧症患者16例中, 12例は入院後安静と軽度食塩制限(食塩摂取量1日8~10g)により血圧下降を示し,このさい全末梢血管抵抗の低下がみられた.この12例中7例においては,血圧下降とともにアンジオテンシン反応性は低下を示し,また血漿レニン活性の増大,尿ナトリウム排泄量および循環血漿量の減少,心拍数の増加傾向がみられた(A群). 12例中他の5例においては,アンジオテンシン反応性は不変か亢進を示し,ノルエピネフリン反応性の亢進,血漿レニン活性の低下,尿ナトリウム排泄量および循環血漿量の増加,心拍数の減少傾向がみられた(B群).これらの所見は, A群の患者ではナトリウムの過剰が,またB群の患者では交感神経機能の亢進が,高血圧の機序に関与していた可能性を推測させる.

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