低K血症および若年性高血圧を合併した眼窩腫瘍hemangiopericytomaによる異所性renin産生腫瘍の1症例

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タイトル別名
  • ECTOPIC RENIN-SECRETING ORBITAL HEMANGIOPERICYTOMA ASSOCIATED WITH JUVENILE HYPERTENSION AND HYPOKALEMIA; A CASE REPORT
  • テイ K ケッショウ オヨビ ジャクネンセイ コウケツアツ オ ガッペイシタ

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抄録

眼窩腫瘍hemangiopericytoma(血管周皮細胞腫)原発の異所性renin産生腫瘍の1症例を報告した.症例は若年性高血圧(200/140mmHg)を主訴とし,右眼球突出および低K血症を合併した15才,女性である.血漿renin活性(PRA)の異常高値,血漿aldosterone濃度(PAC)の高値の持続ならびに低K血症(3.0~3.3mEq/l)を示した.選択的分腎静脈血ではPRAの左右差を示唆する所見は認められず,高血圧はspironolactone治療に反応・奏効した. renin遊出刺激である食塩制限,立位歩行に対して, PRAの増加反応はほとんど認められなかつたが,減塩食下のPACは立位歩行負荷に対して増加反応を示した.眼窩腫瘍摘出術を受けたが,周囲へ浸潤した腫瘍部分の完全摘出には至らなかつた.術後高血圧の低下が暫時得られたが,術後も高renin,高aldosterone血症は持続し,高血圧も再び持続性となり,腫瘍の澤潤は増大し,末期には尿崩症様の多尿を示して死亡した.手術時の眼窩腫瘍組織中のrenin含量は1,403~2,225ng/angiotensin I generated/h/gram wet weight of tissueと高値を示した.また腫瘍の病理組織像はorbital hemangiopericytomaで,鍍銀染色により確認された.また多数の肥満細胞,少数のBowie染色陽性顆粒を認めた.電顕的にはrhomboid granuleはほとんど認められず, round granuleが主体であつた.本症例はiso-reninを産生し,かつ高血圧を呈した脳腫瘍としては世界最初の報告例に相当するものである.

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