加令と交感神経活動

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タイトル別名
  • AGE AND SYMPATHETIC ACTIVITY
  • カレイ ト コウカン シンケイ カツドウ

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説明

加令に際して生体における内部環境維持機構の変容を明確にすることを目的として,著者の考案したアンケートにより60才以上の老年者を社会生活において,精神的ないし肉体的な行動意欲の旺盛な群vitality(+)と,不足している群vitality(-)に分け,ノルアドレナリン,ピロカルピンならびに運動をそれぞれ負荷した際の血行動態と交感神経活動につき, 20才台の若年者と比較検討した.また家兎を用い,各年代における心筋および副腎内のカテコラミン含量を定量した,その結果, vitality(-)群においては,若年対照群(軽症結核入院患者)およびvitality(+)群に比較して外的侵襲に対する交感神経中枢の興奮性は低下,末梢における交感および副交感神経性受容体の感受性は亢進を示した. vitality(-)群においては,運動負荷により交感神経中枢の著明な興奮を示した.一方家兎心筋内カテコラミンは,生下直後低値を, 8ヵ月(成熟期), 2年(老年期)においては正常値を示した.副腎内カテコラミンは,逆に生下直後高値を,それ以後は正常値を示した.以上の成績より,老年期にみられる内部環境維持機構における交感神経活動の変容は,加令によつて交感神経活動はその基盤的要素の変容は見られないが,個人の生活意欲の多寡による影響を受けて変容されることが示唆された.すなわち老年期においては外的刺激に対して自律神経中枢の感受性は低下し,末梢臓器の反応性は亢進を示した.

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