急性呼吸窮迫症候群の病態・治療の最前線

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タイトル別名
  • Acute Respiratory Distress Syndrome: Current Understanding of the Pathogenesis and Future Direction of Management

抄録

<p>急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)は,肺胞・毛細管関門に対する炎症性傷害により透過性亢進型の肺水腫像を呈し,重篤な呼吸不全に至る病態である.近年の病態研究から,ARDSの発症には自然免疫反応が重要な役割を果たしており,病原微生物由来の外因性物質や組織傷害で生じた内因性物質を認識して炎症を惹起する.副腎皮質ステロイドをはじめ,生命予後の改善効果が証明された薬物療法はないが,マクロライド系抗菌薬の炎症抑制効果が注目されている.呼吸管理では肺保護的人工換気が行われるが,軽症例では非侵襲的陽圧換気も有用であり,腹臥位換気や膜型人工肺も試みられている.新たな治療法として間葉系幹細胞を用いた治療が注目されており,ARDSの収束や損傷肺の修復促進などの効果が期待される.ARDSの死亡率は依然高い水準であり,治療法の確立が待たれる.</p>

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参考文献 (18)*注記

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