病原性大腸菌および赤痢菌における環境応答による病原性発現調節

  • 戸邉 亨
    大阪大学大学院医学系研究科感染免疫医学講座感染防御学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Modulation of virulence expression in <i>Escherichia coli</i> and <i>Shigella</i> spp. by environmental factors
  • 平成19年小林六造記念賞受賞論文 病原性大腸菌および赤痢菌における環境応答による病原性発現調節
  • ヘイセイ 19ネン コバヤシ ロクゾウ キネンショウ ジュショウ ロンブン ビョウゲンセイ ダイチョウキン オヨビ セキリキン ニ オケル カンキョウ オウトウ ニ ヨル ビョウゲンセイ ハツゲン チョウセツ

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抄録

病原性の発現は, 多くの場合菌の増殖環境により大きく変化する。病原性大腸菌や赤痢菌の病原性遺伝子の発現も環境因子の変化に応答して調節されている。病原性遺伝子は, 水平伝播により獲得された外来性遺伝子であるが, 環境応答の制御システムは非病原性大腸菌にも共通の基本骨格ゲノムにある環境応答システムに組み込まれていることが明らかとなった。環境因子の変化は, 二成分制御系やストレスなどに応答するグローバル制御系を介して感知され病原性調節遺伝子を通じて病原性遺伝子発現を調節していた。これらに加え, 温度による発現制御では, H-NSなどにより構成される核様体構造を基盤とし, 温度によるDNAの局所的な構造変化を感知し病原性調節遺伝子の転写を直接調節していた。すなわち, 散在する外来性の病原性遺伝子群は, 環境応答調節を受ける病原性調節遺伝子を介して協調的に発現調節されていること, 及び病原性発現調節システムは内在性の調節システムを利用し巧妙に構築されていることが明らかとなった。

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