ウェルシュ菌の細胞間シグナル伝達による病原性発現調節の研究

  • 大谷 郁
    金沢大学医薬保健研究域医学系細菌感染症制御学

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of regulatory system of toxin production by cell-cell signaling in Clostridium perfringens
  • 平成23年黒屋奨学賞受賞論文 ウェルシュ菌の細胞間シグナル伝達による病原性発現調節の研究
  • ヘイセイ 23ネン コクヤ ショウガクショウ ジュショウ ロンブン ウェルシュキン ノ サイボウ カン シグナル デンタツ ニ ヨル ビョウゲンセイ ハツゲン チョウセツ ノ ケンキュウ

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抄録

ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)はガス壊疽や食中毒の原因菌であり,多数の毒素を産生しその協調作用によって特徴ある病態を形成する。ウェルシュ菌は外界からアミノ酸等を取り入れることが,菌の生存,増殖のために必須である。本菌の染色体上には様々な毒素遺伝子や酵素遺伝子が存在するが,これらがどのような機構を通じて発現され,効率よく宿主から栄養を獲得するか,といった点については未知の部分が多い。本研究では,マイクロアレイを用いて,二成分制御系VirR/VirSならびにその二次的調節遺伝子として機能するVR-RNAによる遺伝子発現を網羅的に解析した。このシステムによって調節される遺伝子群は147遺伝子にのぼり,その中には,毒素,酵素遺伝子の他,多くのトランスポーターやエネルギー代謝に関与する遺伝子が含まれており,VirR/VirS-VR-RNAカスケードは,本菌が増殖していくための制御システムにおいて中心的役割を果たしていることが明らかとなった。また,本菌には少なくとも2つの細胞間情報伝達システムが存在し,毒素産生調節を行っていることが明らかとなり,特にagrシステムによる調節はVirR/VirSシステムと深く関与し,本菌の生存・増殖制御において中心的役割を果たしている可能性が示唆された。<br>

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参考文献 (35)*注記

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