石造遺跡の凍結-融解による破壊と樹脂による防止効果の実験

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  • セキゾウ イセキ ノ トウケツ ユウカイ ニヨル ハカイ ト ジュシ ニヨル

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野外の石造遺跡の凍結-融解による破損作用に対して, 岩石にシリコン系樹脂を浸含させる方法を検討した.その硬化の効果を評価・判定するために, 含水水分供給状態での凍結-融解実験を行った.風化の程度を示す指標として, 空隙率と超音波伝播速度の値とその関係が有効であることを示した.<BR>シリコン系樹脂 (メチルトリエトキシシラン) を用いて, 凝灰岩を試料とした実験から, 凍結-融解による劣化の防止効果の大きいことがわかった.樹脂による風化岩石の硬化と強度の増加は少ないが, 凍結時の水分移動や氷晶分離を低下させることで破壊が防止されると考えられる.凍結時の破壊機構や, 水-氷形成時の発生作用力 (凍上力) について, 不明な点が残されるが, これは今後の研究課題としたい.また実際に野外遺物に樹脂を用いて含浸硬化させる際の, 浸透性及び浸透厚さの評価判定も今後の問題として残された.別の機会にこれについても報告する予定である.

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 44 (2), 101-103, 1982

    公益社団法人 日本雪氷学会

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