FM‐CW地中レーダを応用したケーソン防波堤内部空洞診断システム

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タイトル別名
  • Diagnosis system for the caisson breakwater applied FM-CW GPR
  • FM-CW地中レーダを応用したケーソン防波堤内部空洞診断システム
  • FM CW チチュウ レーダ オ オウヨウシタ ケーソン ボウハテイ ナイブ クウドウ シンダン システム

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抄録

港湾施設を高波などから守る防波堤は,我が国ではケーソン式が多く用いられている。ケーソン式防波堤は,長年の波浪により損傷を受けることがある。その場合,ケーソン内部の中詰砂が流出し,その結果ケーソン内部に空洞が発生する。通常,ケーソン内部の空洞を確認するには目視調査や測量調査などにより防波堤表面の状態や形状の変化などを観察し,その後ボーリング調査を行って,内部に防水カメラなどを挿入して行う。しかし,この方法は非効率的で,調査費用も嵩む。<br> 一方,地下やコンクリート構造物の背面の空洞調査には地中レーダが用いられている。しかし,パルス波方式の地中レーダ探査は,コンクリート背面の空洞探査に対しては1m程度までの深さしか探査できない。<br> 筆者らは,コンクリートの厚さが数mの防波堤内部の空洞の有無とある程度の厚さを推定するためにFM-CW方式の地中レーダ探査装置を製作し,ケーソン内部の診断システムを開発した。空洞の有無の判定には,技術者による個人差をなくすために自動診断プログラムを開発した。<br> この自動診断プログラムには,コンクリートの比誘電率が必要である。そのため,コンクリートコア試料を採取して,製作した装置と同じ周波数帯域で電気特性(比誘電率及び導電率)の測定を行った。<br> 測定した電気特性の値を用いて防波堤内部の電磁波伝搬の数値計算を行い,自動診断プログラムの判定基準を検討した。この自動診断プログラムにより,現地で直ちに結果が得られるようになった。<br> 本稿では,開発した診断システムの技術的な特徴を示し,新潟東港及び金沢港で得られた成果について報告する。<br>

収録刊行物

  • 物理探査

    物理探査 60 (5), 419-433, 2007

    社団法人 物理探査学会

参考文献 (27)*注記

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