気候感度の制約において第四紀研究の果たす役割と可能性について

  • 吉森 正和
    東京大学気候システム研究センター
  • 阿部 彩子
    東京大学気候システム研究センター 海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • The role and potential of Quaternary research in constraining future climate sensitivity
  • キコウ カンド ノ セイヤク ニ オイテ ダイ4キ ケンキュウ ノ ハタス ヤクワリ ト カノウセイ ニ ツイテ

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説明

古気候研究には,純粋な学問的興味の枠組みを超えて,現在進行している,あるいは将来起こりうる気候変化に対して,現実に起きた事実に基づいた知見を提供するという重要な役割がある.将来の地球の平均気温がどのくらい変化するかを表す気候感度の推定,およびその不確定性の評価もその1つと考えられる.本稿では,まず古気候情報を利用した気候感度の制約の意義を述べ,最も基本的な概念である放射強制力,気候感度を決める放射フィードバック過程について解説する.その後,第四紀の気候変化を利用した気候感度の推定と制約について,間接指標によるもの,気候モデルと復元された古環境の比較によるもの,物理アンサンブル実験を用いるものの3つに分けてこれまでの研究をまとめる.さらに,過去と将来の気候感度の関係について,フィードバック過程を通して論じた研究を紹介する.これらの研究における問題点や今後の可能性についても言及する.

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 48 (3), 143-162, 2009

    日本第四紀学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (249)*注記

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