表層部分に注目した地震動シミュレーションのための関東平野の3次元S波速度深部地盤モデル

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タイトル別名
  • 3D S-wave velocity model of Kanto basin for long-period ground motion simulation with special focus on treatment of shallow near-surface part
  • ヒョウソウ ブブン ニ チュウモク シタ ジシンドウ シミュレーション ノ タメ ノ カントウ ヘイヤ ノ 3ジゲン Sハ ソクド シンブ ジバン モデル

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抄録

関東平野内の各地で実施された微動アレイ探査データを集約し,やや長周期の地震動シミュレーションのための関東平野の堆積層の3次元S波速度深部地盤モデルの新たな構築を行った。今回の新たな構築においては,関東平野北部地域など領域内における微動探査の空白域の解消により,これまで既往の研究の情報を参照にした推定によるところが多かった領域の大幅な縮小化と平野全体における各層境界面形状の詳細化を図ることができ,山中・山田(2006)で示されたモデルからの改善を行うことができた。そして,本研究で構築した深部地盤モデルを用いて,1990年伊豆大島近海地震(Mj6.5)の差分法による地震動シミュレーションを行い,観測記録や既往のモデルによるシミュレーション結果との比較を行った。その結果,新たに示したモデルを用いることで,周期4~20秒の帯域の時刻歴波形や速度応答スペクトルにおいて,平野の北西部を除く広範囲の地点で観測記録の特徴をある程度説明できることを示し,東京湾周辺部だけでなく平野各地に分布する観測点における地震動記録の再現性の向上につながった。さらに,深部地盤モデルにおける表層部分のS波速度の地域的分布を考慮することの有意性を示し,やや長周期帯域の地震動を評価するより適切なモデルを提示することができた。さらに,地震動シミュレーションに多用されている差分法において,媒質パラメータを与える地盤モデル内の空間の離散化の大きさの違いによる影響を抽出し,差分格子サイズの大小によって計算結果に大きく差が出ることが有り得ることを示した。特に,周期数秒程度のやや長周期地震動シミュレーションにおいては,関東平野のように大規模で厚い堆積層の中でも,低速度層である表層部分について,モデル化の際の配慮の必要性を指摘することができた。<br>

収録刊行物

  • 物理探査

    物理探査 65 (3), 139-150, 2012

    社団法人 物理探査学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (25)*注記

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