エントロピー交換率極小の気候

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  • Climates at Minima of the Entropy Exchange Rate

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説明

放射加熱を含んだエントロピー釣り合いの式を導き,Pal tridgeが提唱しているエントロピー交換率最小の原理の検証を試みた。エントロピー釣り合いのモデルでは,顕熱•潜熱輸送に伴う熱力学的散逸(エントロピー生成)が,運動エネルギーの摩擦による散逸に対して無視出来ない。<br>エントロピー交換率極小の気候を探すために,南北方向に2及び10の緯度帯に分割した緯度平均2次元モデルを用いた。放射加熱計算は,大気を10層に分割して行い,雲は,そのうち3層に出現すると仮定した。水蒸気分布として,絶対湿度分布を与えた場合と,相対湿度分布を与えた場合について,極小解を探した。その結果,前者について,極小解が複数個見つかったが,後者については,見い出せなかった。前者の場合,現在の気候に似た気温•雲量分布を持つ気候が,極小解の一つとして得られたが,最小解ではなかった。結論として,エントロピー交換率最小の気候は,水蒸気分布のパラメタリゼーションに,敏感に依存することが示された。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 61 (6), 894-908, 1983

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (17)*注記

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