西太平洋および東南アジア地域における深い積雲対流活動の解析

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of the Deep Convective Activity over the Western Pacific and Southeast Asia
  • 第2部 北半球の夏にみられる季節変化と季節内変動
  • Part II: Seasonal and Intraseasonal Variations during Northern Summer

抄録

深い積雲群の振舞にみられる季節変化および季節内変動を,当論文の第1部において提唱された活動度示数を用いて調べた。1979年5月から8月の各月において作成された月平均の活動度分布には,従来雲量分布や長波放射量から推測されているにすぎなかった積雲活動の季節的な特徴がよくあらわれている。分布の緯度方向への変動においては,東南アジア地域における積雲活動の活発な領域の北進,梅雨をもたらす積雲活動域の形成,および西太平洋上における熱帯収束帯にともなう帯状の積雲活動域の北への変位などが明瞭にあらわれている。<br>この積雲活動度の緯度一時間変化図においては周期30日から40日程度の大きな季節内変動の存在が明らかになった。インドシナ半島およびベンガル湾方面においてはこの変動は南インド洋赤道付近からくり返し進行してくる様相を示す。時間変動に関するバンドパス•フィルターを用いてさらに詳細な解析を行なったところ,変動のなかにはチベット高原方面から南進してくる成分もあることが分かった。さらに,同様の状況が西太平洋上においても生じていることも明らかになった。850mb面における風の変動に関するコンポジット解析の結果によれば,この30-40日周期変動はインドにおけるモンスーンの活発/休止のサイクルに伴なって変動している。インド上空でモンスーン西風が最も強化された時,活発な積雲活動域はインド北東部からフィリッピン諸島をつらねる領域にあらわれる。これと対照的に,インド洋赤道付近やチベット高原では積雲活動は抑制されている。さらに当解析の結果によれば,この時期には西太平洋上の熱帯収束帯に伴なう積雲活動も活発化していることが明らかになった。

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参考文献 (18)*注記

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