連続成層流体内の強制傾圧波の非線型的振舞

書誌事項

タイトル別名
  • Non-Linear Behaviors of Forced Baroclinic Wave in a Continuous Zonal Flow

抄録

地形(加熱)により,準共鳴的に強制された Eady 型傾圧波の振舞を調べた。非線型的振舞を研究するために,摂動展開法により強制項を含むランダウ方程式を導出した。粘性効果として,流体層の上下にエクマン層を想定し,展開の主オーダーに取り入れている。線型論からは,鉛直平均が零で一定シアーの帯状風内では,共鳴は傾圧不安定の臨界サーマルロスビー数(β=β0)で起きる事が示される。ところが波の自己相互作用を取り入れると,非線型効果は,場を安定化するため,非線型系では,最大応答はβ0より小さい所で起きる。又,その近くで,三つの平衡解(A,B, C)が存在する事がわかる。大振幅状態Aは安定であるが,小振幅状態Bと中振幅状態Cは不安定である。Bは振幅と位相の摂動に対し不安定であるが, Cは位相の摂動に対してのみ不安定である。もし,平坦地形ならば,AとCは位相を180°異にするだけである。振幅と位相の時間微分をベクトル図として描く事により,安定性を決めるポテンシャルは,Aでは極小, Bでは極大, Cでは鞍点になっている事がわかった。<br>帯状風が共鳴条件(鉛直平均が零)からわずかにずれる時も,βのある狭い範囲に三つの平衡解を持つ。これらの解の安定性は共鳴条件を満す時と似ている。さらに,複素振幅方程式の時間発展によって,山が低い時,傾圧波は強制波と相互作用を起し振幅と位相速度を時間的に変動させつつ伝播する事が示される。しかし,山が高くなると,位相速度は小さくなり,高さがある値を越えると,地形にトラップされる。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 62 (6), 809-832, 1984

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

参考文献 (23)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ