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- 飯田 睦治郎
- 気象研究所
書誌事項
- タイトル別名
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- Computations of the Transports of Momentum, Sensible and Latent Heat across the Equator
説明
資料は赤道に沿った大体10°N~3°S緯度圏内の14筒所の観測所による1958,1959年1月,4月,7月,10月の各月における1000,850,700,500,400,300,250,200,150,100,50mb等圧面高度上の実測風,気温,湿度の観測値を用いた。運動量輸送,顕熱輸送,潜熱輸送の毎日の値を計算した。主な結果は次の通りである。<br>1.解析した2ケ年を通じて,平均細胞,定常渦および移動性渦による水平方向への輸送の総和によって表はした角運動量輸送は常に北半球方向にむいていた。<br>2.全角運動量輸送は秋季又は冬季には相対的に大きな北半球方向への値を示すが,春季には比較的小さな北半球方向への輸送となる。そして平均細胞による寄与は冬季,春季において大となり,非定常の渦が活溌化して来ると想像される夏季より秋季にかけては,移動性渦による寄与が主となり,平均細胞による寄与は小さくなる。そして又,定常渦による全角運動量輸送への寄与は夏季に大きくなる。<br>3.平均細胞,定常渦および移動性渦による顕熱輸送の総和によって表はした全顕熱輸送は規則正しい季節変化を示し,常に夏季半球方向へ熱量を輸送している。そして,北半球夏季において南半球から運ばれる熱量は冬季において南半球に輸送される熱量に比較すると平均的に大体1/4以下である。<br>4.顕熱輸送においては,平均細胞による全顕熱輸送への寄与が主であり,各渦による寄与は非常に僅かである。<br>5.平均細胞,定常渦および移動性渦による潜熱輸送の総和によって表はした全潜熱輸送は顕熱輸送と同様に規則正しい季節変化を示し,常に夏季半球方向にむいており,北半球夏期において南半球から輸送される熱量は平均的に南半球に輸送される熱量の大体1/4である。そして,夏半球方向に輸送される潜熱は同じく夏半球方向に輸送される顕熱の大体1/4程度である。<br>6.潜熱輸送においては,顕熱輸送と同様に平均細胞による全潜熱輸送への寄与が非常に大きいが,移動性渦による輸送が若干寄与している。<br>7.解析した期間において,大気中では年間で熱は北半球から南半球に輸送されていた。
収録刊行物
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- 気象集誌. 第2輯
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気象集誌. 第2輯 46 (1), 1-13, 1968
公益社団法人 日本気象学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282681480759552
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- NII論文ID
- 130007344309
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- ISSN
- 21869057
- 00261165
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可