回転水槽実験で観測されるティルティッド•トラフ•バシレ-ションの数値シミュレーション

書誌事項

タイトル別名
  • A Numerical Study of Tilted-Trough Vacillation Observed in a Differentially Heated Rotating Fluid Annulus

抄録

非一様•全周格子を用いて、回転水槽実験で観測されるティルティッド•トラフ•バシレーションの数値シミュレーションを行なった。<br>主な結果は以下のとおりである。<br>(1)定常な外部パラメータのもとで、はっきりとした周期をもつティルティッド•トラフ•バシレーションをシミュレートできた。サイド•バンドの振幅は、バシレーションの全期間を通じて、隣接する卓越波とその高調波の振幅の0.1%の桁であり、流れの場は充分な回転対称性をもっている。高調波とサイド•バンドの振幅は、波数の増大とともに指数関数的に減少する。<br>(2)ティルティッド•トラフ•バシレーションの現象は、水平面内におけるトラフの半径方向に対する傾きの周期的な変動のほかに、円筒面内におけるトラフの鉛直方向に対する傾きの周期的な変動を伴っている。トラフの水平面内の変動と鉛直面内の変動は、それぞれ、角運動量および熱の半径方向の輸送量に周期的な変動を引き起こす主要な原因となっている。<br>(3)力学的エネルギー量とエネルギー相互間の変換率にも、はっきりとした周期的な変動が存在する。また、帯状平均流から波動への運動エネルギーの変換率は、バシレーションの全期間を通じて正であり、その平均値はポテンシヤル•エネルギーからの変換率の平均値よりも1桁小さいが、波動から帯状平均流へ運動エネルギーが変換される(回転角速度が比較的小さな領域での)定常な波動に対する結果とは、著しく対照的である。したがって、ティルティッド•トラフ•バシレーションの現象は、弱い順圧不安定の影響を受けている傾圧波動の挙動として理解される。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 68 (4), 447-460, 1990

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (9)*注記

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