東アジアの異常天候:1983/84年冬と1984年夏

書誌事項

タイトル別名
  • Extremes of East Asian Weather during the Post ENSO Years of 1983/84
  • Severe Cold Winter and Hot Dry Summer

抄録

東アジアにおける1984年の天候は,大寒冬から暑夏へと極めて大きく変動した。この2つの異常天候に関連する大気循環の特徴,およびそれらと西部熱帯太平洋域における対流活動や海面水温の変動との関係を解析し,中緯度と低緯度の相互作用について考察した。<br>1983/84冬には,日本の東方海上で強い低圧部が持続し,東アジアでは偏西風の大規模なだ行が維持された。極東の東西指数は,過去40年間で1980/81年と並び,1967/68年に次ぐ低指数を記録し,中部日本の冬平均気温は1944/45年以来の低温となつた。低緯度地域では,エルニーニョの最盛期だった1982/83年とは対照的に,対流活動はインドネシアやフィリピン付近で強く,日付変更線付近で弱かった。<br>1984夏の場合,その前半と後半で,高温•少雨をもたらした要因は異なる。6~7月にかけて,日本の東海上にリッジが,中国大陸上にトラフが持続し,東アジア東部では南西風が卓越した。盛夏期には,亜熱帯高気圧(サブハイ)が北偏して発達し,東アジア東部をおおった。このため,中国南部から朝鮮半島•日本にかけて高温•少雨となった。<br>日本付近で発達したサブハイの動向は,低緯度の対流活動と深く関係していた。7月中旬まではベンガル湾で平年より強い対流活動がみられたが,西部熱帯太平洋では弱かった。7月下旬からフィリピン付近で対流活動が強まると共にサブハイが日本付近で発達し,同域で強い対流が続いた約1ヶ月間,日本付近に存在した。<br>西部熱帯太平洋のSSTは,1982-83年とは対照的に,冬から夏を通し平年より高かった。SSTの変動に対応して同域の対流活動もおおむね平年より強く,SSTが活発な対流活動に寄与したと示唆される。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 64 (4), 493-503, 1986

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (15)*注記

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参考文献 (7)*注記

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