移流型方程式およびプリミティヴ方程式の数値解を求める際, 境界条件によって生ずる誤差

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タイトル別名
  • False Reflection of Waves at the Boundary Due to the Use of Finite Differences

抄録

微分方程式を差分近似で解く際,一階微分を中央差分でおきかえると,差分方程式としては二階となり余分の自由度を生じる.このため微分方程式の解に収束する解の他に,差分式の場合にのみ存在する解(computational modes)が現われる.移流型方程式やプリミティヴ方程式かいて,空間微分のみを中央差分近似をとったものについて,空間のcomputational modesについて存在してみた.れらの方程式の波動解を求めると一定の振動数に対して本来はひとつ決まるべき波数が2つ対になって存在し,互に補角をなす.波長が4グリッド以下の波は対応する真の解をもたず,その伝播速度は位相速度でみる限りは,単に値が小さくなるだけだが,群速度をとってみると逆向きになっている.したがって移流型方程式では,4グリッド以下の波長の波は流れに逆らって動く.尚従来の議論は多く時間微分を中央差分で近似した時の問題に向けられ,それによって逆進する波の存在と解釈しているがこれは正確でない.移流型方程式と有限領域で積分する時,流出点で計算上の境界条件を課するが,これによって真の解と同じ振動数の計算上の解が励起される.これは波束としては流れに逆らって動くので流出点から内部に伝わり誤差を生ずる.この反射波の振幅といろいろの境界条件について吟味した所,一般に1次の外挿をすると反射率は tan(l+1)P/2となる事が示される.(Pは入射波の波数).次に同様にしてプリミティヴ方程式について,重力波が固体壁にあたる過程を差分近似した時の波の振舞を調べてみた.単純な中央差分をとるとやはり余分の境界条件が必要となり,このため物理的反射波と共に計算上の反射波ができる.三種の代表的境界条件についてそれぞれの反射率を求めた所,或る境界条件に対しては計算上の反射率が1をこえるが,別の条件では,計算上の反射波は全然生じない.本論で得られている結果は Platzman (1954)によって得られた結論と一見矛盾する点を含むのでその点について考察した.

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 44 (2), 145-157, 1966

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (5)*注記

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